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教派によってもマナーが異なる、キリスト教の葬儀を徹底解説

キリスト教の葬儀において葬儀の流れや形式自体、馴染み深い仏教式の葬儀とは異なる点が多く存在します。
さらにキリスト教には多くの教派が存在し、教派によって異なる部分もありますので注意が必要です。

葬儀

日本における三大宗教の内のひとつ、キリスト教。仏教とは死生観が異なるため、葬儀を執り行う意味合いも異なります。

参列する機会が多い仏教式の葬儀や神道式の葬儀と異なる点が多いため、いざキリスト教の葬儀の参列を控えた場合には不安に感じる方も多いのではないでしょうか。この機会に是非知識を蓄え、いざという時の不安を少しでも軽減できるようにしていきましょう。

    目 次
  1. キリスト教の葬儀
  2. 御花料について
  3. 参列する前に知っておきたい注意点

キリスト教の葬儀

キリスト教における教派

仏教の中に多くの宗派があるように、キリスト教には多くの教派が存在します。日本において馴染みのある教派は「プロテスタント」と「カトリック」でしょう。

プロテスタントとカトリックの違いについて簡潔にお伝えすると、プロテスタントでは教会のトップはローマ教皇であり特別な存在であると扱いますが、プロテスタントでは「人間は神様以外みんな平等」と考えるのでローマ教皇を特別な存在として扱うことはありません。これはイエスの母マリアについても同じ考えが見られ、プロテスタントでは「マリアはイエス様を産んだとはいえ、一人の人間でしかない」と捉えるのに対し、カトリックでは「聖母マリア」という特別な存在として捉えます。
その為、教会にマリア像があればカトリックの教会・なければプロテスタントの教会と判断することも可能です。

それぞれの葬儀

プロテスタントでは故人は神のもとで安らかになるという思想の元、祈りは神のために行われます。葬儀も神への感謝と遺族を慰めるという意味合いがあり、葬儀と告別式は分けずに行われます。

●プロテスタント式の葬儀と告別式の流れ
・入場:オルガン演奏の中、牧師を筆頭にして棺、喪主、遺族が入場します。参列者はそれを起立で出迎えます。
・聖書朗読、祈祷:牧師が聖書を朗読して祈祷を捧げるので参列者は黙祷します。その後、賛美歌を斉唱します。
・牧師による説教:牧師が故人の略歴や人柄などを紹介した後、説教が行われます。
・弔辞、弔電紹介:弔辞や弔電は故人の弔いよりも、思い出を語るような内容が一般的。
・祈祷、オルガン奏楽:オルガンの演奏を聞きながら黙祷します。
・告別の祈り:牧師が祈りを捧げ、全員で賛美歌を斉唱します。
・献花:牧師、喪主、遺族、親族、一般会葬者の順番で献花を行います。
・遺族挨拶:遺族あいさつは献花前に行われる場合もあります。

カトリックでは故人は神に委ねられ、キリストの再臨と死者の復活が願われるという思想の元、葬儀は故人が所属していた教会で行われることがほとんどで葬儀と告別式を別で行います。

●カトリック式の葬儀の流れ
・入堂聖歌:聖歌と共に神父が入堂します。この際参列者は起立で迎えます。棺は一旦入り口で安置され、神父によって聖水と祈りが捧げられます。その後神父に続き、棺と遺族が入場となります。
・開式の辞:神父が棺に聖水を注ぎ献香します。その後、開式の辞を述べ、葬儀の開祭を告げます。

・葬儀のミサ:葬儀のミサでは言葉の典礼と感謝の典礼が行われます。言葉の典礼では、神父による聖書の朗読と説教が行われ参列者全員で祈りを捧げます。感謝の典礼では、遺族が祭壇にパンとぶどう酒を捧げ信徒が神父から聖体(パン)を受け取る儀式です。これは聖体拝領というもので、故人が復活の神秘にあずかり永遠の命を得るように祈るという意味があります。

●カトリック式の告別式の流れ
・入堂聖歌:葬儀の場合と同じ。
・聖歌斉唱:参列者全員で聖歌を歌い、告別式の開式となります。
・弔辞、弔電紹介:故人の略歴及び弔辞・弔電が紹介されます。
・献花:献花を行う順番は、喪主・遺族・親族・一般会葬者となります。
・遺族挨拶:喪主が感謝の挨拶を行います。参列者が多い場合には献花の前に行う場合もあります。

御花料について

御花料の意味

キリスト教の葬儀では香典ではなく、御花料を用意します。葬儀の際にキリスト教(プロテスタント)ではお香を炊くことはありません。そのため、香典と全く一緒の意味を持つわけではないのですが、葬儀に参列する際に持参するお金という意味合いでは同じ意味を持つと言えるでしょう。

厳密にお伝えすると、香典という概念がキリスト教にはありませんが、呼び名として御花料を御香典と呼んでもそれほど問題になりません。
包む金額は、故人との関係性や自身の年齢によっても変わる点に注意しましょう。

御花料のマナー

御花料を包む封筒は白色でユリの花や十字架が描いてあるキリスト教仕様のものを選びましょう。どうしても用意できない場合には、白色の熨斗袋または郵便番号欄がない白色の封筒を代用して問題ありません。表書きは筆ペンでも薄墨のもので「御花料」と、封筒袋の上半分の真ん中に書きます。筆ペンがない場合は、黒のボールペンやサインペンを使用しましょう。表書きを御花料とすれば、教派に関係なく使用できます。

名前は袋の下半分にフルネームで書きましょう。2名までであれば連名で、3名以上の場合は「一同」と記載するのがマナーです。
キリスト教での葬儀は教会が会場となりますので、持参した御花料は教会の入り口にある受付で渡しましょう。

参列する前に知っておきたい注意点

献花について

キリスト教の葬儀でも故人に向けて花を贈る習慣があります。献花と供花の二種類がありますが、それぞれ全く違うものとなります。ここからは、献花と供花の違いやマナーをお伝え致します。

献花は仏教でいう焼香、神道でいう玉串奉奠のような役割で、祭壇に白い菊やカーネーションを捧げます。

●献花の手順
両手で花を受け取った後、遺族に一礼して献花台に進む
茎を祭壇に向け献花台に捧げる
右手で花側を持ち、左手で茎を持つ
一礼して黙祷する
前を向いたまま数歩下がり、遺族に一礼して戻る

供花について

供花は、故人への弔意を表す意味合いで贈る花です。キリスト教ではバスケットフラワーを贈るのが一般的となっています。訃報を受けたら通夜や葬儀が始まる前までに贈りましょう。供花の受け取りを辞退する遺族もいるため手配する前には必ず先方の意思を確認しましょう。また、キリスト教の場合には供花には名前を書きません。遺族によって名前を書いてほしいと要望する場合もあるようなので、その場合には指示に従いましょう。教会が花屋さんを指定する場合もありますので事前に確認しましょう。

参列する際の注意点

キリスト教葬儀に参列する際の注意点ですが、葬儀の場で着用するのに適した服装については、仏式の場合と同じもので問題ありません。男性であれば喪服、あるいはダークスーツ・女性は黒のスーツやアンサンブル、ワンピースなどです。靴やバッグといった小物類も黒を使い、派手な時計やアクセサリーなどは避けるのが無難です。また、キリスト教の葬儀に参列する際は数珠を持参する必要はありません。

キリスト教式の特徴である聖歌・賛美歌ですが、これは参加しなくても問題ありませんが、事前に歌や祈りの一節が書かれた紙が配られるため、できるだけ参加すると良いでしょう。

また仏教や神道とは違い、キリスト教では死に対する考え方が永遠の命の始まりだとされています。そのため、亡くなったことは悲しいことですが不幸なことではないという意識が根底にあるようです。その為、故人の安寧を祈る形が一般的だといえるでしょう。

●キリスト教には不適切な仏教用語
・冥福を祈る
・ご愁傷様
・供養
・成仏
・往生
・冥途

キリスト教では、故人が神や仏になるという考え方はなく、プロテスタントの場合は「召天」、カトリックの場合は「昇天・帰天」と表記し、死者は神に召されるという考え方が基本にあるので、拝礼をするのも故人に対してではなく神に向かって捧げています。その為実際に遺族にお声がけする際にも「お悔やみ」など一般的な仏教の葬儀で使う言葉は避けた方が良いでしょう。キリスト教の葬儀では「安らかなお眠りをお祈りします。」や「〇〇様の平安をお祈りいたします。」などの表現が良いとされています。

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